第11章 真実
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「じゃあ、お前は少し休め。日出前にはここを出るぞ。」
「はーい」
と、小屋の中からの会話を外からこっそり聞いていたのは守一郎だった。
見張りに向かって居た時、彼が小屋から出て行くのが見えてしまったため心配になって小屋に戻ってきたのだ。
その時、小屋の中にいた3人の会話が聞こえてきてしまったのだ。
守一郎は、ひどく混乱していた。
彼自身は、由利若月の事は大好きだった。
友人としても、同じ編入生同士ということもあり一緒に訓練したり食事をしたり切磋琢磨し合い・・・
それが、学園長の命を狙う暗殺者・・・しかも女
という現実に、戸惑いを隠せずにいた。
守一郎は、思わず彼の後を追いかけていた。
小屋の近くにいるのは分かっていたため辺りを見渡したらすぐに見つけた。
木の上にいる彼になんて声をかけていいのかが分からなくて途方に暮れていた時・・・守一郎の心は、留まった。
なぜなら、木の上にいる彼は月明かりに照らされていてその頬が涙で濡れているのが見えたからだった。
その姿に、守一郎は何も声をかけることができなかったと同時に、きれいだと思ってしまった。
それが女性特有のものかも分からなかったが守一郎は何も言わずに見張りの場へ戻った。
その日の夜は、そのまま更けていき
朝日が昇る前に、彼らは任務を終え忍術学園に戻っていった。