第11章 真実
「喜八郎…お前由利の事、どこまで知っている」
「…。あいつ…いや、彼女が女だってことは初めて会った時から気づいてましたよ。あと、何か隠しているってことも…でも、話したくなさそうなので何も聞いてないです」
嘘をつけない相手だと、誰よりも分かっている喜八郎はそう言って彼・・・彼女の事を2人に告げた。
食満と立花も、喜八郎の言葉に嘘はないと思い、口を開いた。
「喜八郎、この際だから言うが…あいつ、由利若月の正体は、学園長の命を狙ってこの学園に潜入している暗殺者だ。」
2人は喜八郎に彼が今もこの学園にいる理由と経緯、そしてそれを知っているのが教員と6年生・5年生だけであること・・・これまで何度も暗殺を行っているが失敗していることとすべてを説明した。
「…ということだ。」
「…そうですか」
と、すべての話を聞いても喜八郎はあまり驚いた表情をしなかった。それどころか、フフフ…と笑う始末だ。
「何がおかしいんだ。」
「だって、面白いじゃないですか。若月にそんな秘密があるなんて…」
「面白いって、お前…!!」
食満が緊張感のない喜八郎に一言言おうとしたが、立花がそれを止めた。そして、食満を見てうなずいた。
「喜八郎…まさかとは思うが、お前由利の事が好きなのか?」
「はい、好きですよ。分かりやすく言うと…穴掘と同じくらい好きですね」
と、立花にいつもの飄々とした顔で告げた。
立花は予想通りと言わんばかりの大きなため息をついた