第9章 振舞
***
『失礼します。兵助さん?』
「いらっしゃい!若月。」
『おまたせしました!わぁ…兵助さん割烹着がよくお似合いで…』
昼過ぎに食堂へ行くと、そこには割烹着を着て豆腐料理の準備をしている久々知兵助がいた。
久々知が彼をテーブルに座らせて待たせていると、さっそく彼お手製の豆腐料理が出てきた。
「はい、まずは冷奴だ!」
『まず…。では、いただきます!』
彼は、久々知の作った冷奴を一口食べてみた。
すると・・・彼の顔がパッと顔が明るくなった。
『うわっ!!すっごく美味しい!!大豆の味が濃厚でコクがあって…醤油がなくても豆腐だけでこんなにおいしいなんて!さすが兵助さん!!…あ、もう食べちゃった!』
と、彼がアハハ…と笑うと久々知はより一層嬉しそうな顔をしてまた厨房へ戻っていった。そしてすぐに・・・
「はい、次は湯豆腐!!」
『おぉ…!!…パク。わぁ!!さっきの冷奴とはまた違った風味ですね。煮込んでも崩れないちょっと堅めの豆腐で弾力があるのに口にいれたらトロっととろけて…美味しい~!』
「じゃあ次は、麻婆豆腐!!」
『…パク。うぅ~!!麻婆の辛みを豆腐の柔らかい甘みが調和されてすっごく美味しい~!!』
「じゃあ次は…!!」
と、この後も豆腐飯や肉豆腐、厚揚げに揚げ出しと・・・
異常なほど豆腐料理が出てきたが、彼はそのすべてにしっかりと感想を言って尚且つそのすべてを嬉しそうに完食したのだ。