第9章 振舞
『えっ?お詫び?』
火薬庫の事故から数日後、彼の怪我もすっかり治った頃
彼のもとへ久々知兵助がやってきたのだ。
「あぁ、先日の火薬庫の事でな。手伝って貰ったのに怪我までさせてしまって。本当にすまなかった。」
『いや、いいんですよ!伊助君にもこの前全力で謝られてしまいましたし…。むしろ、あのせいで火薬庫しばらく出入り禁止になってしまって…』
「そんな!!若月は悪くないよ!それで、若月にお詫びと言ってはなんだけど…僕の豆腐料理をごちそうさせてくれないかい?」
『えっ、豆腐料理?そういえば兵助さん豆腐料理がお好きだってタカ丸さんが…』
「そう!!僕の作った豆腐!!それを若月に食べてもらいのと同時にこの前のお詫びに!!」
『えっと…じゃあそこまでおっしゃるなら…』
「本当かい!?では、今日の昼過ぎに食堂で待ってるから!!」
と、だけ言って久々知兵助がダッシュで行ってしまった。
残された彼は、ポカンとしていたが・・・
その両脇に突然・・・
「大変だな、由利」
『えっ!?えっと…5年の不破雷蔵さんと、蜂屋三郎さん…なのは分かるんですが…すみません、見分けがまだ…』
「それはいいんだけど、君も大変だね…」
と、不破と蜂谷が憐れんだような目で彼を見た。
2人によると・・・久々知兵助が豆腐好きなのは学園内では有名なようで彼は過剰はほどに豆腐料理を振舞いたがるという悪い癖があるようで・・・
「地獄のように豆腐料理を食べさせられるから気をつけてね…」
『そ…そんなに、ですか?』
「あぁ…覚悟していけよ…」
そう言い残して、2人はどこかへ行ってしまった。
結局最後までどっちがどっちかは分からずじまいだった・・・