第1章 編入
「それより、今は何をしていたんだい?」
『あぁ、この綾部に学園内を案内してもらおうかと思って居たのですが…』
と、綾部を見るとずっと騒いでいる滝夜叉丸とずっと揉めている。どっちが先に彼と勝負をするかと・・・
「あはは、よかったら喜八郎に代わって僕が案内しようか?」
『はい、ぜひともお願いしたいです。』
じゃあ行こうか、とタカ丸さんが彼を連れて学園内を移動し始めた。彼らが去ってしまっても後ろから綾部と滝夜叉丸の揉める声が聞こえ続けた。
***
「じゃあまずは校舎からだね、こっちが…」
タカ丸さんに校舎内にある設備や教室を案内してもらうことになった。この忍術学園は、1年生から6年生までの各学年が忍術を学んでいると、タカ丸さんが話していると・・・
「あ、タカ丸さん!」
と、廊下を歩いていたタカ丸さんに後ろから声をかけてきた子達がいた。それは丁度1年生の教室がある廊下で水色の忍者服の制服を着た子だった。
「あ、乱太郎、キリ丸、しんべヱ!」
「どうも、あれ?そちらの方は…」
眼鏡をかけた赤茶色の髪の子が彼を見て首を傾げた
『どうも、今日から4年い組に編入した由利若月です。』
「はじめまして、猪名寺 乱太郎です。」
「ぼくは摂津のキリ丸っす。はぇ~若月先輩噂には聞いてましたが、美人っすね~」
眼鏡の子と一緒にいた髪の黒い子が彼の全身をじっと見ながら感心するようにつぶやく
『あはは、あんまり美人とは言わないでほしいな…』
「ぼくは福冨しんべヱです。えへへ」
と、彼らよりも背は小さいけどふくよかな子がニカッと笑いながら鼻水を垂らしていた。
「今学園内を案内してるところなんだ。みんなは…」
「僕達今から掃除当番なんです。」
「そう、頑張ってね。じゃあ由利、行こう」
と、タカ丸さんが3人に手を振って廊下を歩いていく
3人が後ろで「いってらっしゃーい!」と声をかけてきていた
『アレは、1年生の…?』
「うん、彼らはちょっと変わってるけどね…」
タカ丸さんはアハハ…と苦笑いをしていた。
彼はその時はその苦笑いがよく分からなかった。