第1章 編入
『何…?』
「げぇ…滝夜叉丸…」
猛烈ダッシュで駆けつけてきたのは、同じく4年い組の平滝夜叉丸だった。あからさまに嫌な顔をする綾部喜八郎はまたツーンとした表情でどっかを向いた。
「喜八郎!!お前私がこいつとの勝負を挑んだというのに!!何抜け駆けして決闘しようとしているんだ!!」
「抜け駆けじゃないよ、僕は彼にちょっとムカついたから勝負を挑んだだけだよ。」
「それを抜け駆けというのだ!!おい編入生!!喜八郎よりも私と勝負だ!!」
と、彼を指さしてどこから取り出したのか戦輪を回しながら宣戦布告をしてきた。
『えっと…どっちと勝負を…』
「私だ!!」「僕とだよ!」
「はい二人とも…チョキチョキチョキ~!!」
と、いつまでも言い合っている2人の背後に影でも分かる金色の髪をもつ人が現れて目にも止まらぬ速さで2人の頭を弄っていく。
「はい、2人共喧嘩はしないように髪結いしてあげたよ」
「ギャー!!タカ丸さん!!」
「急に変な髪形にしないでください!!」
と、金色の髪の人に向かって怒鳴る。
見ると滝夜叉丸と喜八郎は見るも無残な奇抜な髪形に変貌していた。
『…プッ、アハハ!!変な髪形~!!アハハハ…!!!』
「笑うな編入生!!!」
「あ、君がい組に編入してきた人だね。僕は斉藤タカ丸。よろしく」
『アハハ、す…すみません、挨拶が遅れました。由利若月といいます。同じ4年生ですよね。』
「うん、でもいろいろあって年齢はみんなより2つ上なんだ。でも気にせず気軽に接してよ」
彼は心底安心した。
4年生にも比較的まともな人がいるのだということに関して・・・