第8章 危機
「タカ丸さん行きますよ!」
「うん!」
「「せーのッ!!」」
久々知とタカ丸が一緒に火薬棚を持ち上げようとするが、それでも持ち上がらない。
「兵助!!」
「あ!七松先輩!!潮江先輩に中在家先輩も…」
「俺達も手伝うぞ!行くぞ!ギンギーン!!」
「よっしゃー!いけいけどんどーん!!」
「…モソ」
と鍛錬が得意な6年生3人が救助に来た。
3人がなかなかの馬鹿力の持ち主であったため火薬棚を持ち上げてしまった。
「由利!!」
『ゲホ…ッ!!』
彼の近くにいた七松小平太が彼に手を差し伸べて火薬棚の下から引き揚げてくれた。
彼を引き出したのを確認すると、3人はより力を込めて棚を押し戻した。棚は元の位置に戻ったが、火薬が辺りに散らばってしまっていた。
そこでようやく、顧問の土井先生がやってきた。
「お前達!!大丈夫か!?」
「土井先生…すみません!ぼくが棚を倒しちゃって…由利先輩が助けてくださったんです。」
「そうか、由利は大丈夫か?」
『ゲホ…はい、まあ…足をちょっとひねっちゃったくらいです。』
「でも、火薬を吸っているからきちんと処理をした方がいい。七松。そのまま保健室に連れてってやってくれ」
「はい!」
と・・・七松に所謂お姫様抱っこの状態で抱えられている彼はそのまま保健室に連れて行かれた。
その様子を火薬委員の2人は、心底心配しているような顔で見送った。
「では火薬委員。散らばった灰の片づけを頼む。6年生は協力感謝する。しばらく、火薬庫周辺に人が近づかないように見張っててくれ。」
と、土井先生が指示をし始めた。
それでも久々知とタカ丸の心ここにあらずという感じだった。