第8章 危機
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「…うん、大丈夫。肺には入ってないみたいだ。足も捻挫程度で肩の傷も浅い。しばらく安静にしていれば大丈夫だよ。」
保健室に連れてこられた彼は、保健委員会委員長の善法寺伊作に手当てをしてもらい、いろいろと配慮しながら肺の音も聞いてくれた。
『すみません、善法寺さん。七松さんもありがとうございます。』
「ガハハハッ!気にするな!!それよりお前、1年の伊助を助けたんだってな!暗殺をやる奴が意外だな!!」
「小平太!そんなはっきりと…」
『いえ、そう思われても仕方ありません。でも、1年生にはオレの暗殺は関係ありませんから。後輩の子を助けただけです。』
「おぉー!いい心がけだ!!見直したぞ!!若月!!」
『えっ…七松さん。今、オレの事…』
「おっ?なんだ?」
『…いえ、お騒がせしました。』
「おぅ!じゃあまたな!!」
と、七松は保健室を出て行った。
七松が出て行ったあと、彼は善法寺の顔を見た。善法寺もさっきの一連の流れに気づいていた。
『あの…今のって…』
「少なくとも、小平太の中ではただの敵ではなくなったってことだな。よかったな」
『…ちょっと複雑です。』
「僕はさっきの場にはいなかったが、集まってくれた人たちも少なからず若月の事は信じてくれてると思うよ」
『うーん、どうでしょう…。未だに潮江さんはオレの事目の敵にしてますし』
というと、善法寺もそれに関しては苦笑いだった。