第8章 危機
「うぅ…あ!由利先輩!!」
『痛たた…伊助君大丈夫?』
「は…はい!」
「由利先輩!!大丈夫ですか!?」
「あぁ!!火薬棚が!!」
奥で片づけをしていた2年生達も大きな音を聞いてやってきた。
2年生達が2人で棚を持ち上げようとするが、2年の力では持ち上がるものではなかった。
『伊助君、出られる?』
「は、はい!!」
『2年生の子達も、急いで火薬庫から出て!!火薬を被ったら危ないから!!それで、急いで先輩や先生達を呼んできて!!』
「「「は、はい!!」」」
と、3人は急いで火薬庫を出て行った。
残された彼は、なんとか自力で抜け出そうとするが足が火薬壺の下敷きにされており古びた棚のせいで破片が肩に刺さっており思うように体を動かせずにいた。
『うぅ…どうしよう…ケホケホ!!…ヤバ、火薬吸っちゃったかも…ゲホッゲホ…!!』
「ハァ…ハァ!!若月!!大丈夫!?」
倒れた火薬棚にあった火薬壺が割れて火薬が充満し始めたためせき込み始めた。その時、久々知兵助と共に土井先生のもとへ行ったタカ丸が慌てて戻ってきた。
『ゲホ…た、タカ丸さんッ!』
「大丈夫!?」
『すみません…火薬壺に足やられちゃって…』
「分かった!待ってて!!ふんぬー!!」
『ちょ…タカ丸さん!先生や先輩達が来るまで…』
「大丈夫だよ、僕が助けてあげるから!!」
と、タカ丸が倒れた棚を起こそうとするがさすがに1人では持ち上げらないようだった。
『タカ丸さん…』
「ふんぬー!!」
「タカ丸さん!!」
「ぐッ…あ!久々知君!」
「大丈夫ですか?あ、若月!!」
『へ…兵助さ…ゲホゲホ!!』
「あ、火薬を吸ってる!!ほら、これを口に当てて!!」
と、久々知は少し湿らせた手拭いを渡された。
これで必要以上の火薬を吸わないようにというものだ。