第7章 日常.2
「全く、君は…。いつも落ち着けって言ってるじゃん。」
『…ごめん。でもさ、オレの上に座る意味は何?』
地面に落とされて、うつ伏せの状態になっている彼の上に喜八郎は腰を下ろしているのだ。
「そんなの、またあんな風に殺気むき出しで襲われたらたまんないもん。」
『…しないっての。』
地面に顔が付かないように肘をついて頬杖をついてムスッとすると喜八郎は彼の髪を触った。
「あ~あ~、これじゃタカ丸が卒倒しそうだね。変なところで切れちゃってる。」
『…いいよ別に。』
「髪、大事なんじゃないの?」
『…そうだけど。』
ムスッとしていると、髪を触っていた喜八郎の手が彼の頭に移ってきた。頭をなでてくる喜八郎に彼は少し驚いた。
手を払ってもまた撫でてきて・・・
『何?』
「ん~?タカ丸さんが言うみたいにフワフワだな~って」
『だからって触るな。』
「僕が触りたいんだからいいじゃない。」
『いやよくないっての…。』
喜八郎の手はなでなでからわしゃわしゃに変わった。
すると、ようやく喜八郎は彼の身体から離れた。
「…あのさ、いろいろあると思うけど…僕でよかったら、聞くからいろいろと」
『…うん、大丈夫。』
「あっそ、じゃそろそろ戻ろっか。多分みんな戻ってる頃だろうし」
『…そうだな』
と、地面から立ち上がって砂は枯葉を払った。
落とした鉄扇を片して、喜八郎と共に山を下りた。