第6章 印象
「失礼する」
「あれ?潮江君、七松君、中在家君。どうしたの?」
最後に彼本人の部屋で斎藤タカ丸と同室の部屋を訪れた。
そこでは斎藤タカ丸が宿題をしていた。
「タカ丸さん、由利について聞きたいのだが。」
「えっ…」
タカ丸は、彼について聞かれた時あからさまに動揺した。
しかも、先の2人とは明らかに動揺の仕方が違っていた。
「あぁ、若月だね。すっごくいい子だよ。僕なんかよりも忍術に長けているし、頭もよくて体力もあって…おまけにあの髪!髪結いのし甲斐がある綺麗でふわふわな髪!!はぁ~あの髪が切れないなんて…」
「ん?髪が切れない?」
「どうやら家訓で切れないみたいなんだよね。もったいないね…。」
「…何か、由利について知ってることはないか?」
「…どうして?」
タカ丸の話を聞いていたが、七松はタカ丸の核心に迫ろうとしていた。七松は心理を見抜くことに長けているためより心理に迫る質問をし始めた。
しかし、伊達に15年生きていないタカ丸もそれに気づいたようで心理を突かれないように平常を装った。
「同室だからな。何か知っているのではないかとな」
「そういう七松君たちも、僕らに何か若月について何か隠してるんじゃないの?わざわざそんな質問をするなんて」
「…ッ!そういうわけじゃない!!ただ…」
「小平太。…すまないタカ丸さん。ないならいいんだ。邪魔したな。」
小平太が珍しくムキになって問い詰めようとしたが、それを潮江に止められた。中在家もタカ丸に頭を下げて部屋を出て行った。
残されたタカ丸は、ハァ…と小さなため息をついて彼がいつも使っている鏡と櫛を見た。
「…僕は、信じてるからね。」
誰もいない部屋でタカ丸は、そうつぶやいた。