第6章 印象
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6年い組の部屋に再度集まった6年生達は、はぁ…と暗い雰囲気になっていた。いつもは悩まない七松ですら、少し困っているようだった。
「…仙蔵。5年生はどうだった。」
「あぁ、各々由利との関わり方を工夫していた。監視という名目で自身の技術向上のため委員会のためにと、暗殺者とはいえ良い関係を築いていた。4年生は…?」
「あぁ、4年生は…まぁ、事情を知らないとはいえ…完全にライバルとして戦友、仲間として受け入れている。ただ…」
「ただ?」
「斎藤タカ丸だけは、様子がおかしかった。」
というと、潮江と七松、中在家がタカ丸の様子を話し始めた。
それにより他の3人もより厳しい顔になった。
「そうか…やはり同室である以上何か隠していてもおかしくない。少し斎藤タカ丸の事も探った方がいいな。」
「兵助には言うべきか?」
「いや、兵助はダメだ。皆と抱いている感情が違うからな。余計にこじれてややこしくなるだろう。」
5年生を調査した3人と、その手の話にも理解のある中在家は意味を理解したが潮江と七松はいまいち理解できていなかった。
「とりあえず、不本意だが5年生のようにより由利と良い関係を築けるようにするべきだな。」
「それに加え、斎藤タカ丸と綾部喜八郎についても注視するように。でいいな」
と、全員異議なしで決着がついた。
会議が終わり各々部屋に戻ろうとしたとき、
「伊作。」と、立花が善法寺を呼び止めた。善法寺は一度立ち止まって立花に「何?」と尋ねた
「…今日は珍しく口数が少なかったが、お前も気をつけろよ。お前の視線や接し方は兵助に近いところがあるからな」
「えっ!?いや…僕は…」
「良い関係とは言うが、やはり深追いはするなよ」
と、忠告して立花は部屋の襖を閉めた
残された伊作は呆然としてなぜバレてたんだ…?と頭の中を巡らせてしまっていた。