第6章 印象
「おーい、いるか。」
「おっ、先輩方」
「どうしましたか?」
『ん?』
と、ろ組の不破雷蔵と蜂谷三郎の部屋に入る。
するとそこには、不破雷蔵と別室の竹谷八左ヱ門・・・さらにキリ丸と一緒に水売りをしているはずの由利がそこに座っていた。
「うわ!?由利!?」
「落ち着け留三郎、よく見ろ。由利若月に変装した蜂屋三郎だ。」
『あはは、さすが立花先輩。バレちゃいましたか。」
「おぉ、そうか…驚いた。ていうか三郎…なぜ由利に化けるんだ…」
「普段くノ一みたいな女性の観察をすることが滅多にないですから。貴重な女性の変装の勉強になります。」
と、再び彼の顔を蜂屋が変装して見せた。
その顔で笑顔を向けると6年の3人は少し複雑な気持ちになった。
「それはそうと、お前達由利についてどう思って居る?」
「どうって…暗殺がなければいい子ですよ。この前…」
「図書委員の仕事を手伝って貰ったんだろ?散々聞いた。」
「あの…」
「どうした八左ヱ門。」
「実は僕も、この前生物委員会の仕事を手伝って貰いました…。ウサギの子供がたくさん生まれてしまって…」
と、竹谷八左ヱ門は照れ笑いをしながら6年生に告げる。
6年の3人はその話を聞いて少し呆れてしまっていた。
仮にも暗殺者である彼に対して、彼を研究対象にしたりいい子と言って委員会の手伝いをさせてしまって・・・
「お前達!!奴は仮にも…!!」
「分かってますよ!!…でも、ずっと由利を見張ってるだけって言うのも、返って周りに怪しまれそうで…」
「自然に接するなら、いっそ手伝って貰った方がいいかと思いまして…」
と、5年生達に言われ食満はそれ以上何も言えなくなった。
5年生達の言っていることも至極真っ当だからだ。
「はぁ…」
「あはは、割とうまくやっているみたいだね」
「さて、どうしたものか…」
5年生達の反応に3人は、より頭を抱えることになった。
思った以上に由利と良好であることに・・・