第5章 隠蔽
だが、喜八郎も持っていた鋤で毒針を受け止めてそのまま彼の服を掴んで地面に押し倒した。
『フー…!フー…!!』
「鼻息荒いね~。少し落ち着きなよ。」
『フー…!』
「もぉ…大人しくしてったら。」
と、喜八郎は押し倒した彼の鼻息が荒いモノだから大きなため息をついた後、押し倒した彼の手を握り顎を持ちいきなり接吻をした。
殺意むき出しだった彼は突然の接吻に殺意が吹っ飛び別のパニックが襲ってきた。
彼の脳内は、まず冷静にこいつは殺しちゃいけないという理性で右手に持ってる針はあてられないし左手はなぜか喜八郎に握られてるし顎は抑えられてるから動けないし・・・
『んーーー!!』
「ッはぁ、やっぱうるさい。」
口を離して口元を拭った喜八郎が彼を見下ろしてまたため息をつく。彼もようやく冷静になって口元をゴシゴシと拭って身体を起こす。
『ちょ…おま、いっ…!な、あ…!』
「だから落ち着きなってば。ほい水」
と持参していた水を彼に渡した。
それを一気に飲み干して改めて喜八郎に・・・
『お前!いつからオレが…!女だって…』
「いつからって、初めて会った時からだけど?」
『ふぇ…?』
「だって、見るからに女の子の身体の形してるもん肩幅だって細いし。見て一発で分かるよ。」
と、冷静に分析された。
逆に喜八郎は、他の奴らに気づかれてないのが不思議とまで言っている始末だ。
『う…うぅ~…!』
「えっ…なんで泣くの…?」
初日で暗殺を失敗し、その後51回も暗殺に失敗ししかも同い年に身体つきで女だとバレるなんて・・・という不甲斐なさと情けなさとショックで泣き出してしまったのだ。
喜八郎も泣くとは思って居なかったようで珍しくあたふたし始めた。