第5章 隠蔽
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『はぁ…とはいえ、51回はまずい…早く片付けないと…』
「何を片付けるって…?」
『だから…って!?』
部屋に向かって居ながらブツブツつぶやいていると、背後から声をかけられ思わず答えてしまった。
それはいつものことながら泥だらけになっている綾部喜八郎だった
『なっ…なんだよ』
「なんかまたブツブツうるさかったから。で?何を片付けるの?」
『なっ…なんでもねえよ』
と、喜八郎を無視して部屋に行こうとしたらなぜかこいつ彼の後をついてくる。でも何か話すわけでもなく・・・
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『なんだよ!さっきから!!』
「最近ずっとイライラしているから。なんかあった?」
『ないってば!オレにかまうな!』
と、結局裏山の木陰のところまでついてきた喜八郎にいい加減堪忍袋の緒が切れた彼は彼に向かって大声で叫ぶが喜八郎は相変わらず飄々と彼に向かって声をかける。
それでもイライラしている彼は喜八郎に八つ当たりのように声を荒げる。
「何?もしかして月経?」
『違う!まだ時期じゃな…!!…へ?』
「あれ?違った?女の子は何日かに一度なるんでしょ?」
『おま…なんで…?オレは…』
「だって、若月って女の子でしょ」
彼は、この瞬間パニックになっていた。
ずっと5年と6年以外にはバレないように湯浴みも着替えも細心の注意を払っていた。授業や実習中も気をつけていた・・・でもなんで?どこでバレた…?どうしよ…どうしよう…!!!
『…ッ!!』
混乱した頭で思い付いたのは、こいつを殺す・・・ということだけだった。懐に常備している毒針を取り出し、一心に喜八郎の喉を狙って針を向ける。