第5章 隠蔽
『楽しい…というか、ここの人達は変わってますよね。』
「変わってる?」
『事情を知らない学年はともかく、5年6年は変です。暗殺阻止は分かるけどその後になんで暗殺の助言とかをするんですか?』
「それはただ単に自分達の実践にも使えるからな。お前の高度な暗殺をさらに高度にするために我々も試行錯誤していけば後々の自分達の実技にも役立つだろうからね。」
『完全にあたしを利用してますね。まぁいいですけど…!』
と、会話をしながら彼は学園長の部屋に向かって針を投げた。
それを立花仙蔵はすかさず隠し持っていた苦無を投げで針に当て相殺させた。
「さすがだな。あのまま針が飛んでいれば、学園長のもとに届く角度だな。だが、これで暗殺失敗記録51回目…だな。」
『…そうですね。』
彼は暗殺失敗をしたことにより彼は木から降りて部屋に戻ろうとした。すると、木の上にいる立花仙蔵が声をかけてきた。
「由利。もう諦めて大人しく学業に専念したらどうだ?」
『…余計なお世話です。それにあたしの本分は暗殺です。さっさと暗殺成功させてここを出て行きますのでご安心を』
「そうか、100回を超えなければいいな」
『・・・。』
最後の最後までムカつく立花仙蔵に彼はイラっとしたまま部屋に戻っていった。
***
「ふぅ…なかなか諦めないな。ん?」
彼を見送った立花仙蔵が、ふと誰かが近くにいる気配を感じた。木から降りて周りを見たけどそこには誰もいなかった
ただ近くに掘りかけの穴があり、立花仙蔵は心当たりがあったが今は問いただすのをやめて今日の暗殺失敗を他の生徒に伝えに向かった。