第4章 日常
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『はぁ…』
「うるさい。」
『はい?』
「今日一日ため息うるさい。何考えてんの?」
隣の席になっている綾部喜八郎が、今朝の暗殺に失敗してあからさまに落ち込んでいる彼のことを吐き捨てるように問いかけた。
『別に…。』
「あっそ。まぁ興味ないからいいけど。というか、あっちもうるさい」
と教室の後ろの方を指さす綾部の視線の先にはなぜか真っ黒のオーラを纏ってへこんでいる滝夜叉丸がいた。
今日の実技訓練授業の時、彼は思わず無意識に本気の手法で千輪をぶん投げてしまい滝夜叉丸に千輪で勝ってしまったのだ。
挙句に彼が『あ、ごめん思わず…』と言ってしまったことにより尚更ショックを受けてしまい一日ショックを受けているのだ。
『うるさいって、存在がうるさいってことじゃん…オレのせいじゃねえよ』
「まぁそうなんだけどね。じゃほっとこっか。夕食行こう」
『あ、オレも行く。』
「…って!お前達少しは私を労われ!!」
『元気じゃん』「元気じゃん」
教室を出ようとしたとき、真っ暗に沈んでいた滝夜叉丸は無視されそうになった瞬間にハッとして跳ね上がった。喜八郎と彼はそんな滝夜叉丸をも無視して食堂に行ってしまった。