第4章 日常
食満は味噌汁を少し指で触り匂いを嗅いだ。
「伊作…」と慌てている善法寺を呼び自分の指を嗅がせた。善法寺もその匂いを嗅いで確信したようで、チラッと彼の事を見た。
一連の流れを見ていた彼だったが、それを横目に4年生達が集まるテーブルに着いた。
「あはは、善法寺君は相変わらず不運だね。」
『アレは、不運に入るのかな…』
と、タカ丸と話している。
席に着いてから、他の4年生は学園長と善法寺が揉めているのを眺めながら朝食を取っていたが、彼だけは学園長の横で何か話している食満と七松を見ていた。
彼はそのまま朝食を食べて食堂を後にした。
食堂を出るとすぐに、先に食べ終わって食堂を出ていた6年の3人が待っていた。
「あれ?善法寺君、七松君、食満君どうしたの?」
「タカ丸さん、ちょっと由利に聞きたいことがあるんだ。いいか?」
「あ、うん。じゃあ先に行ってるね」
『はーい』
と、タカ丸が先に教室に向かったのを見送ると彼はすぐに6年生に目をやる。それはもう暗殺者らしい殺意を込めた目で。
さすがに食堂の前で話すわけにはいかないと、学園の裏に連れて行かれた。
「さっそく仕掛けてきたか暗殺女」
「学園長の味噌汁には睡眠薬と即効性の高い毒を混ぜたものいれたんだね。ホントに素人が扱ってるとは思えないくらいすごい毒だったよ。ある意味僕がぶつかってよかった」
「昨日の今日で仕掛けてくるとはいい度胸だな!!嫌いじゃない!!」
と、七松は意外にもガハハハッ!!と笑っているが、食満はそれを良しとはしなかった。
『えっ…あの一連の流れって皆さんが気づいてやったんじゃないんですか?』
「おぅ!!伊作が派手に転んだだけだ!」
『そう…なんですね…。』
彼は一気に気疲れが襲ってきて大きなため息をついた。
まさかあの完璧なまでの阻止の仕方が偶然とは・・・