第20章 最終章 未来
「「「「「『・・・は?』」」」」」
学園長の言い分はこうだった。
彼女こと、本名《由利和歌菜》は過去の失われた一族の名前。
その名前ごとこの学園を名目上退学し新たな名前《若月和歌菜》として、この忍術学園唯一の女子生徒の忍たまとして編入せよ・・・ということだった。
『…じ、じゃあ…あたしは』
「もう過去の自分に囚われる必要なない。由利和歌菜はこの学園を去った。そして新たに若月和歌菜がこの学園に編入した。…それだけの事じゃ!!」
と、学園長とヘムヘムが笑っていた。
彼女は、静かに大粒の涙を落としながら4年生達の方を見る。
4年生達も、いつの間にか涙を浮かべていて彼女を見てニコッと笑った。
『…ふふ、あたし…まだここにいていいんだね』
「…ッグズ、うん…そうだよ、そうだよ!」
鼻をすするタカ丸は、同じく涙でぐちゃぐちゃになっている彼女を抱きしめて頭を撫でる。他の4年生達もみんな大泣きする始末だ。
すると彼女は、何か吹っ切れたようで着物で顔を拭い学園長を見た。
学園長に二ッと笑ったかと思ったら、彼女は大きな動作で頭を下げた。
『学園長先生…ありがとうございます!!!』
と、大きな声で叫んだ
それを聞いた学園長はそのまま部屋の中へと戻っていった。
『…みんな、ごめん。あたし…』
と、お礼を言おうと振り返った彼女の顔を4年生達はじっと見つめた。
それは彼女でもわかるなんとなく嫌な予感が漂った笑顔だった。
『えっ…えっと…』
「そんじゃ、行こうか」
と、喜八郎が何か合図をするとタカ丸が突然彼女をお姫様抱っこをし始めた。そして、慌ててどこかへと連れ去ってしまった。
『えぇ!?ちょ…タカ丸さんどこ行くのーーー!?』
「みんなが喜ぶところーー!!!」
と言って笑うだけのタカ丸の後をの頃の4年生が足早についていく。そしてタカ丸に担がれてからしばらく経った時・・・
「あっ!!来た!!!」と、聞きなれた声が聞こえてきた。
その声に気づいた彼女はずっとタカ丸にしがみつていた手と顔を離して声の方を見た。