第20章 最終章 未来
「俺達は、君が大好きなんだよ…。女の子だからじゃない…君だから好きなんだよ!…ッ君が、俺達の事を思って出て行こうとしていることも分かってる。でも…お願いだよ、行かないでよ…。」
さっきの怒号がいつの間にか、涙声に変わっていた。
でも、彼女は肩を揺らしているタカ丸の言葉を聞いても、何かをグッとこらえるような表情をした。
それを見たのか、今度は喜八郎が大きなため息をついてタカ丸が抱きしめている彼女を鋤で軽く殴った。
『痛ッ!?』
「君、やっぱりバカでしょ。」
『はぁ!?』
「何を心配してるか知らないけどさ、僕らは君なんかに守られるほど弱くないし何より君に守られるなんてムカつくんだけど。」
『なっ…』
「あとはっきり言うけど、僕好きになった女を逃がすほど優しくないから」
と、突然の爆弾発言に全員が「はぁ!?」と大きな声を上げた。
だがタカ丸は、彼女を抱きしめながらずっと泣いていた。
さらに、いつもなら自慢話しかしない滝夜叉丸も、彼女の肩に手を置いて言う。
「和歌菜、私達はお前の仲間だ。だから、今後お前に何が起ころうとも必ず守り切って見せる。だから、心配するな」
滝夜叉丸が珍しくまともなことを言うものだからか、三木ヱ門もタカ丸に抱きしめられている彼女の手を取った。
「和歌菜!!私はお前がいても全く迷惑じゃない!!迷惑なら滝夜叉丸の方がよっぽど迷惑だ!!だから、ここにいてくれないか?」
「何?おい三木ヱ門…貴様どさくさ紛れに私を罵ったか貴様!!」
「本当の事を言ったまでだ!!貴様よりも和歌菜に学園にいてもらった方がよっぽど世のためだ!!!」
と、2人が彼女をはさんで喧嘩を始めた。
すると、見かねたのか今度は学園長が口を出してきた。
「お前達!よさんか!!」
学園長の言葉に喧嘩をしていた滝夜叉丸と三木ヱ門、ずっと彼女を抱きしめていたタカ丸も鼻をすすって顔をあげた。