第2章 決行
「私も混ぜろーー!」
と、2人の後ろからさらにさっきの声が大きな男が飛んできたが、目測を誤ったのか2人の男の上に着地した。
影は少し呆れ気味に見たがすぐに男達に背を向け逃走を図ろうとした。
「てめえ小平太!!テンション上げ過ぎだバカタレ!!」
「くそ!5年!逃がすな!!」
「はい!」「はい!!」
と、もみくちゃになっている男達が指示をすると、また別の生徒。今度は万力鎖と微塵を携えた男達。だったが、さっきの男達よりは相手取りやすかったためあっさり突破してしまった。
影は、そのまま学園の方に走ろうとすると後ろから「まて!!」と、追ってくる声が聞こえた。ちらっと追ってくる男を見るが武器を持っているわけでもなかったからそのまま足を止めずに走る。
「三郎!!」
「まかせろ!」
と、後ろを走っていた男が声をかけると影の前に人影が降りてきた。影は鉄扇を構えて迎え撃とうと思ったが、暗がりの中で男の顔を見た瞬間・・・
『うわぁあ!!』
と、影は思わず足を止めて驚いてしまった。
なぜなら後ろから追ってくる男と目の前に立ちふさがった男が全く同じ顔で同じ姿だったからだ。
そのせいで、隙を作ってしまったため手にしていた鉄扇はどこからか飛んできた苦無によってはじかれてしまい同じ顔の2人の男に取り押さえられた。
「よし!」「よし!」
「雷蔵、三郎。よくやった!」
「やはりな、最初から怪しいと思ってたんだ。」
「さぁ、ゆっくり話しを聞かせてもらぞ。由利若月」
抑えられて男達が持っていた強盗提灯で照らされ影の顔が明らかになった。それが4年に編入してきた由利若月だとはっきりしたのだ。