第20章 最終章 未来
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「こんな朝早く、何かあったのか?」
『学園長先生、これを…』
学園長の部屋に通された彼女は、学園長の前に座り1枚の紙を差し出した。ヘムヘムがそれを預かり学園長の手へを渡す。学園長はその紙を開いて中に書かれていることを読み始めた。
「…これは、本心か?」
『…もちろんです。ようやくこの学園を去る決心がつきました。』
「うむ…。」
それは、忍術学園の退学届だった
彼女はそれを学園長先生にお渡ししたのだ。
学園長は一通り退学届を読んでそれを床の上に置いた。
「由利和歌菜、お主先の戦いで己を見つめ直したのではないのか?」
『…確かに、私は一族の呪縛を解き新たに心を入れ替えて自身が持つ力を正しいことに使おうと思えました。ですが、それはここではできないと判断しました。』
「それはなぜじゃ?」
『…私が女だからです。女である以上ここにいては皆に迷惑をかけてしまいますし…なにより、元とはいえ暗殺者だったということには変わりありません。いつここの生徒に、学園に迷惑をかけるか分かりません。元はと言えば、私が暗殺者として潜入したことが発端である以上私はここから立ち去らなければならないと判断いたしました。』
そう言って学園長に伝えるが、未だに学園長は黙ったままだった。
「由利和歌菜。それは、思い上がりじゃな。」
『えっ…そんなことは』
「他の者がそんな些細なことを気にすると思っているのか?」
『些細なことって…ですが…。』
「お主は、まだ何も分かっておらんな。ヘムヘム!」
「ヘム!!」
と、学園長の片割れに座っていたヘムヘムが庭側の襖を開けた。
するとそこには・・・
『えっ…なんで…』
庭には制服を着た4年生達が並んで立っていた。
滝夜叉丸と三木ヱ門に至っては、どこか怒っているようだった。