第20章 最終章 未来
お風呂から出て彼女は自分の部屋に戻った。
部屋ではいつものことながらタカ丸が首実験用のフィギュアで髪結いの練習をしている。
「あ、おかえり。お風呂どうだった?」
『サイコ~でした~!』
「よかったね。じゃあ俺もお風呂入ってくるからね」
『はい、いってらっしゃいませ。』
と、着替えを持って部屋を出あタカ丸を見送った彼女は寝る支度を始めた。ふと、彼女は何かに気づき部屋の外に出た。すると彼女の部屋の近くで喜八郎が穴掘りをしていた。
『何してんのあんた』
「落とし穴掘ってる。一緒に掘る?」
『風呂入ったばっかだっての。あんたホントに好きだね穴掘り』
「うん、君と同じくらい好き」
と、突然の告白に彼女は思わず顔を赤面させた。
彼女はあまり気にしていない風を装って縁側に座って喜八郎の穴を掘っているところを眺めていた。
「…あのさ、和歌菜」
『ん?』
「…疲れたから寝る。じゃ、また明日ね」
『…うん、おやすみ』
そういって、泥だらけの喜八郎は穴から出てきて彼女に手を振って去っていった。なんだか含みがある言い方をされた気がしたが彼女は気にせずに部屋に戻った。
そのあとすぐにタカ丸も戻ってきて2人で揃って床についた。
「ねぇ、和歌菜」
『ん?なんですか?』
「…また明日ね」
そう彼女に笑いかけてタカ丸は背を向けて眠ってしまった。
・・・なんだか、見透かされているなと思いながらも彼女も眠りについた。
早朝・・・まだ日も登っていない頃
彼女はタカ丸よりも早く起きて身支度を始めた。
彼女は寝巻から、女性ものの着物に着替えて事前に準備をしていた荷物を持って、使っていた机の上に隠していた百合の花を置いて部屋を出て行った。
彼女は、学園内の雰囲気を噛み締めながら長屋を通り学園の奥にある学園の部屋へとやってきた。
『失礼します。』
「…おや、由利和歌菜。」
すでに起きてヘムヘムに身支度を手伝って貰っている学園長の元へとやってきた。