第20章 最終章 未来
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『えっ!?いいんですか?』
「あぁ、ずっと気になっていたんだがお前ここしばらくちゃんと風呂に入ってないだろう。身体を拭くだけで」
『あ、まぁ…』
「なので、一定の時間だけ男の出入りを禁止してお前だけが入れるようにした。ゆっくり入るといい。ちなみにお前が一番風呂だ。」
6年生の立花仙蔵さんに呼ばれて、彼女はお風呂場にやってきた。そこではお風呂の準備が整っていて風呂場の入り口には立花の他に善法寺も待機していた。
「僕らが、誰かが入ってこないように見張っているからゆっくり入っておいで」
『…!ありがとうございます!!』
と、彼女はあらかじめ持ってきていた着替え等を持ってお風呂場に入った。一応2人が見張っているとはいえ警戒のためいつも通り着替えも浴室に持って入った。
戸をガラッと開けて中に入ると、いつもは水しか入っていない浴槽から湯気が立っていた。彼女はすぐに入りたい気持ちを抑え先に身体を洗ってからお風呂に入った。
『…はぁ~。あったかいお風呂サイコ~。』
浴槽につかりながらまどろんでいる彼女だったが、ふと何かを思って口元だけをお湯に沈めてぶくぶくし始める。
そして、しばらく浸かった後・・・
ゆっくりと立ち上がって浴槽から出た
『…やっぱ無理かな』
と、彼女は小さくつぶやいて手拭いで身体を拭き改めて晒を巻く。
***
『はぁ~!久々のお風呂…ん?』
お風呂場から出ると・・・
たくさんの人だかりができていて、それを6年生や5年生達が治めている。
『えっ…まさか、皆さんで聞き耳を…?』
「違う!!誤解だ!!」
と、見張りをしていた立花と善法寺を冷ややかな目で見るが立花は率先して拒否してきた。善法寺は足を滑らせて人ごみに埋もれていたが、そんな2人に改めてお礼を言って彼女は部屋に戻っていった。