第19章 襲撃
『…もう関わらないで。さっさと、この学園から出て行って』
そう女に凄む彼女は、また静かに泣いていた。
彼女が顔を上げると、自分が眠らせていた5年生とどこからやってきたのか、潮江と食満そして三木ヱ門も集まっていた。
「和歌菜…。」
彼女の後ろから喜八郎が彼女の名前を呼ぶ。
彼女が振り返ると、喜八郎が彼女に近づいて優しく抱きしめる。いつの間にか目を覚ましていた滝夜叉丸も三木ヱ門も守一郎もタカ丸も彼女の周りに集まった。
女は、そんな彼女の姿を見て再び涙が溢れた。
今まで男を惹きつけることに関しては勝っていると思っていた妹に、それすらも劣っていると知ってしまった女は・・・
「…なんで、いつも…あんたばっかり幸せになるのよ…。なんで…許さない…許さない!!」
女は、ゆっくりと立ち上がってどこかに隠し持っていた短刀を握って彼女に向けた。その様子を見た4年生達が彼女の前に躍り出た。
女は彼女だけをじっと見つめて、「あんたなんか…あんたなんか!!!!」と叫びながら短刀をもって彼女に向かってきた。
が、女はすぐに動きを止めた。
そして、持っていた短刀を手から滑り落とし・・・そのまま倒れた。
『…すみません、久々知さん』
「…もう、君が手を汚す必要はないんだよ。」
なんと、女を殺したのは久々知兵助だった。
彼の武器の寸鉄で彼女の首元に一撃を入れて絶命させたのだ。
首元から血を流して倒れている姉の姿を・・・彼女は目に焼き付けるようにじっと見ている。
そして、女に近づき他の女達と同じように頭につけていた簪を外した。