第19章 襲撃
「がっ…あ゛…あ゛ぁあ…!!」
「うっ…ぅ和歌菜…なぜ…」
女が苦しみだして、抱えていた腕を離したことによって滝夜叉丸が解放された。そんな滝夜叉丸を彼女が抱えて、七松の方へ連れて行く。
『ごめん…やっぱり、あたしがやらないと…』
「…ぅ」
滝夜叉丸はそのまま気を失ってしまった
七松が滝夜叉丸を受け取るが、彼女に対してはかなり怒っているようだった。
「なぜ出てきたんだ。5年生はどうした?」
『すみません、催眠針を使いました。姉さん達は、あたしに任せてください』
と言って、もう1人の女の方を見た。
女は、もう1人の女が倒れたことを見てかなり動揺しているようだった。
「なっ…なんで、和歌菜…あんた、死んだんじゃ…」
『…楓姉さん。あたし…自分で思ってたほど愛されてないわけではなかったよ。』
「…紫は?」
『…大婆ちゃんから聞いていた、由利の一族に唯一効く毒。それを刺した』
「…は?」
驚いた様子の女は、さっきまで苦しそうにしていたもう1人の姉妹を見た。もう1人の女は悶え苦しんだような表情を浮かべ口から泡を吹いた状態で動かなくなっていた。
女は、すぐに彼女の方を見た。
すると彼女は、女を無視して苦しんで死んだ女と、喜八郎が殴った女のもとへ行きそれぞれの髪についていた簪を外した。そしてその2本を手にし再度残った女の元へと歩み寄った。
「やっ…和歌菜…?」
『…姉さん、これがあたしの最後の暗殺よ。』
彼女が、懐に持っていた針を1本取り出し女に向けた。
女は身体がガクガクと震えていたが、またすぐに大声で叫んだ。