第19章 襲撃
「ほら、早く言わないと…」
「貴方も苦しいでしょ?」
「ぐっ…ぅ、ぅう…和歌菜…」
タカ丸が苦しみながら彼女の名前を呼んだため、女たちはお互い顔を見合わせて大笑いを始めた。
「やだわ、可愛いこの子!」
「死んだ女の名前…しかもあの和歌菜の名前なんてッ!!おかしいわ~。」
「ぐっ、…ぁ」
「ゲホッ!な…何が可笑しいんだ!」
彼女の名前を呼んだことで大笑いしてる女達に、咳き込み始めた七松が女達を睨んで抵抗する。ところが、女達の答えは彼らが思っていたこと以上の事を言い始めた。
「だって、アレは人殺ししか能がない役立たずですもの。それなのに、貴方、可愛い顔をしているのにあんな女がいいの?」
「そうですわよね、桜お姉様も椿お姉様もなんであんなのを可愛がっていたのか全く分からなかったのですが。ホント、死んで清々しましたわ!!」
と、さらに大きな声で笑い始めた女達に七松もタカ丸も中在家も怒りが沸き上がってきていた。そしてそれは別の者にも・・・
「喜八郎!!!待て!!!」
と、大きな声を上げた者がいた
爆笑をしていた女達は声のする方・・・上の方を見上げた。
するとそこには、鋤を振り上げて女を殴ろうとしてくる喜八郎があった。女達の笑い声に最も怒りを覚えていたのは喜八郎だったのだ。
喜八郎はその落下の勢いのまま、最初に学園長の部屋に入ろうとした女の方を鋤で思い切り殴った。
「いやーー!!霞お姉様!!」
もう1人の女が叫び、鋤で殴られた女はそのまま地面に倒れてしまった。そして、喜八郎は何の躊躇もなく女の着ていた着物をはぎ取った。そして、学園長の部屋の近くにある池に落とした。
「これで1枚分の毒は何とかなりましたね、立花先輩」
「全く…。殺生はいかんと言っただろうが!!」
と、喜八郎が池に着物を落とした後喜八郎のそばにどこかに隠れていた立花仙蔵と浜守一郎が現れた。