第19章 襲撃
「これだけ毒が満ちているのに…、お前達はなぜ膝をつかない」
と、布で口元を覆っている生徒達とは対照的に女たちは一切顔を隠している物がなかった。それどころか、着物や香水として使っているということはかなり皮膚からも毒を摂取していると思った中在家が女達に問いかける。
すると、女たちがまたクスクスと笑い始めた。
女はゆっくりと身体を起こして中在家や七松を見た。
「それが、真の由利の一族の力ですわ。」
「やっぱり…和歌菜の…」
「そうよ、でも和歌菜は偽の一族ですわ」
「どういうことだ!?」
七松が女に近づかずに問いかける。
中在家も女たちの言葉を聞こうとするが、タカ丸はかなり苦しいようでフラフラしている。
「真の由利の一族は、幼い頃から少しずつ毒を身体に摂取し続けていた。だから毒は無効にできるし、私達の体液はその毒の副作用で媚薬のような効果がある。」
「だから私達は、その毒の性質のおかげで男を誘惑して店の利益にしていた。ただ…大婆様がもともと病弱だった和歌菜では身体が耐えられないからなんて甘いことを言って、その方法は使わなかった。だから和歌菜は男を取れず真の由利の一族とは認められないのよ」
そう言っている間に、さすがの中在家も七松も香水の匂いが充満した空間には耐えられないようで咳き込んだり体制を崩しかけていた。
「ほら、坊や達もそろそろ私達の毒の味を分かってきたかしら?」
「ウフフ、こんな縄じゃ私達は満足しないわよ」
と、中在家とタカ丸の縄をほどいてしまい女たちは一番弱っているタカ丸に近づいた。
「あら、この中で一番容姿の綺麗な子ね。」
「そうね。ねぇ坊や、学園長はどこにいるのかしら?」
「くっ…い、言わない…!」
タカ丸が抵抗するが、女はタカ丸の口元の布をゆっくりと外した。タカ丸は口を手で抑えるがそれでも空気中に混ざっている毒素を防ぐことはできずに咳き込み始めた。