第19章 襲撃
「ここですわね、学園長先生のお部屋は」
と女はニコニコしながら襖の前に座り、ゆっくりと学園長の部屋の襖をあけた。
「失礼いたします。お初にお目にかかります、恐れながら忍術学園学園長の大川平次渦正様にお話があってまいりました。」
「うむ?何者じゃ?」
「私達は、この学園に編入いたしました由利若月の身内の者でございます。妹の訃報を聞きつけまして…ご挨拶に参りました。」
「そうか…では、中へ…」
と、学園長が言った瞬間女は返事もせずに着ていた着物をふわりと振り部屋に入ろうとする。
しかし・・・
「絶対にいれるな!!!」
と、学園長・・・らしき人物が突然大声を出した。
女達は驚いて後退りをするが、その瞬間女たちの身体をどこからか投げられた縄がかかり外に強引に出された。
「なっ…何をなさるのです!!!」
「私達は、学園長にご挨拶を…」
「残念でしたね!」
「…学園長はここにいない」
と、縄を投げた張本人である4年の斎藤タカ丸と6年の中在家長治が外に出された女を見下ろしながら告げる。
「何…学園長は…」
「ガハハハッ!!残念だったな!!学園長の正体は、私だ!!!」
と、座っていたせいで背丈までは分からなかった女達だったが立ち上がった姿と大柄な話し方のせいで絶対に違うと確信した。
学園長の顔をした者が自分の顔に手をかけると、学園長のマスクが外れ本来の顔が出てきた。それはマスクの下にさらに布で口元を覆っていた七松小平太だった
「なっ…!!」
「霞扇の術と共にその着物にも毒を振っていたのだな!!あと、香水に見せかけて全身に毒を纏っていると見た!!」
「…くっ」
「齋藤、呼吸法を変えろ。もうこの辺りは、奴らの香水の匂いで満ちている。」
布で口元を覆っているとはいえ、かなり空気中に充満してしまっているようでタカ丸は縄を持ったまま膝を地面についてしまった。