第19章 襲撃
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「…みんな、油断するなよ。」
「敵は毒を使うと聞く。気をつけろよ。」
と、4年生と6年生が数名ずつ別れて学園長の部屋周りを固める。用心のために口元を布で覆っている状態で待機していた。
そのうちの1か所にいた食満留三郎と潮江文次郎が周りをキョロキョロしながら見ていると・・・
どこからか、シャン…という音が聞こえた。
音に気が付いた2人が音の方を見た。すると、この学園とは不釣り合いの豪華な着物を着た女性が2人現れた。
「なっ…!!誰だ!!」
先に気が付いた潮江文次郎が着物姿の女たちに向けて武器を向けた。
「まあ、素敵な殿方ですこと。」
「お前達…何者だ?」
「嫌ですわ、私達は学園長先生にお会いに来ただけの者ですわ。それよりも…貴方、とてもたくましくて、素敵ですわ」
と、着物の女は潮江にゆっくりと近づき潮江の顔の布をゆっくりと降ろした。潮江は思わず女の色香に見とれてしまい動きを止めてしまっていた。それを良しとした女は、そのまま潮江の口元に近づいていく。
「潮江先輩!!!」
と、援護のために庭の植木に隠れていた三木ヱ門が思わず声を上げた。それと同時にパーン!!と大きな音が聞こえた。
その音に驚いて、女はキャー!!と悲鳴を上げて潮江から離れた。
音の正体は、三木ヱ門が放った石火矢が潮江に色仕掛けをしようとした女の後ろにいた女が持っていた扇を撃っていた音だった。
「文次郎!!お前油断してんじゃねえ!!霞扇の術だ!!」
「あっ!!クソ!!!」
三木ヱ門とは別の草陰に隠れていた食満が潮江は慌てて女から離れると、改めて武器を構えた。女達は少し驚いたような表情をしたが、すぐに生徒達に向かってまた言葉を並べた。