第18章 作戦
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一方、6年生に連れられて4年生達が改めて学園長の部屋へとやってきた。その後に、5年生を連れてきた中在家も合流した。
「学園長、4年生から聞きました。由利の一族の者が学園に襲撃してくると」
「うむ…」
6年生・5年生・4年生の生徒達が集まり、事情を知る学園長はそう言って低く唸った。暗殺者とはいえ彼よりは劣る相手・・・
「おっ!そうじゃ!!思い付いたぞ!!」
「はっ…学園長、何を…」
「暗殺者はお前達に任せる!」
「「「はい?」」」
学園長のいつもの思い付きとは言え、なんとも漠然とした指令だったため4・5・6年生はキョトンとしている。
学園長が言うに、由利の一族ということは相手は女性
忍者であるなら女性相手でも手にかけれるようにならなければない・・・その実技演習だと思い、奴らを迎え撃つように・・・というものだった。
「…分かりました。」
「ただし、絶対に殺生はいかんぞ。」
「…。」
「綾部、心するように」
そう学園長は喜八郎を名指しで注意した
おそらく彼らの中では納得のいかないことなのだろう。
「…学園長、由利は…」
「…由利は、敵と鉢合わせしないように4年生達が見張るのだ。分かったな」
「…いえ、我々にも戦わせてください。」
そう言ったのは、意外にも滝夜叉丸だった。
彼もまた、彼の境遇を知っているからこそ彼をないがしろにしたその家族を許せなかったのだ。
それは他の4年生も同じなようで、皆顔つきがきつくなっていた。
「よかろう、今回に限り5年生が彼の見張りをするように。」
「はっ!」
学園長からの正式な指令を理解した上級生達はそう返事をして学園長の部屋を出て行った。