第17章 秘密
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彼女を連れ去ったタソガレドキ忍者を追ってきた4年生達がたどり着いたのは、戦地から少し離れた山奥にある古びた山小屋だった。
「…なぁ、罠だったらどうする?」
敵のいる建物を前にようやく冷静さを取り戻した守一郎が他の4年生に尋ねる。しかし、分かりやすく気が立っている喜八郎だけはそんな守一郎達を無視して山小屋へ近づいていく。
他の4年生達も、それについて武器を構えながら山小屋に近づく。
喜八郎は、閉ざされている山小屋の入り口を持っていた鋤で粉々に破壊した。
「やぁ、待っていたよ」
「お前は…!」
「タソガレドキ忍者のちょっと粉もん!?」
「雑渡昆奈門だ。久しぶりだね、浜守一郎君」
小屋の中にいたのは、タソガレドキ忍者隊の組頭の雑渡昆奈門とその狼隊の諸泉尊奈門で、さっき彼女を攫ったのは諸泉尊奈門だったのだ。
諸泉尊奈門は、彼らをチラッと見てからまた何かを手当てしている。そこには、左の肩の辺りが赤く染まっている若月が目を閉じて横たわっていた。
「…ッ!和歌菜!!」
「おや?君達は彼女の本当の名前を知っているのか」
「…ッ!!」
喜八郎は、そんな雑渡に問答無用で鋤で攻撃を仕掛けた。
「喜八郎!!」と、声を上げる滝夜叉丸の静止を振り切り雑渡に攻撃をするが、雑渡は隠していた武器を用いてその攻撃を防ぎあっという間に喜八郎との間合いをつめて喜八郎の喉元に武器を宛がう。
「私は君達と話したいだけだ。武器は納めていただきたい。」
喜八郎は、さすがに6年生でも手間取る相手だと実感し大人しく鋤を降ろした。そして、すぐに諸泉に手当てをされている彼女のそばに寄った。