第16章 告白
タソガレドキに入ってからは、花街にいた時以上に過酷な生活を送ることになったのだ。
『えっ…戦場?』
「そうだ、次の戦の時貴様には内密に敵の城主の暗殺を遂行するのだ。分かったな?」
『で、でも…あたし戦場には…きゃぁ!』
「口答えをするな!!お前はもうこの城の道具だ!!やれと言ったらやれ!!」
花街の店にいた時以上に、非常な扱いを受けるようになってしまった。殺しのやり方は学んでも戦場での作法や生き抜き方を学んだわけではない。それでも城に仕える以上、無理やりにでも戦場に出されたのだ。逆らえば、鞭で叩かれ木の棒でぶたれるようになった
***
大人たちの叫び声や怒号が飛び交い、銃の玉が飛び刀が競り合う金属音がそこら中から聞こえてくる。
『うっ…うぅ…』
「おい、何している。」
『はっ…!』
初めてそんな場所に置かれた彼女は、当然役に立つはずもなく戦場近くの森の中に隠れてしまった。その様子を見ていたのが、包帯だらけの忍者だった。
『だ…だって、あたし…』
「…そんな様子じゃこの城には置いておけないな。さっさとどこぞで野垂れ死ぬんだな。」
『…うぅ』
そう言って包帯忍者はどこかへ行ってしまった。
残された彼女は森の中の木の下で泣いた。生まれて初めて殺しが怖いと感じたのだ。
『姉、さん…グス・・・』
「ん?なんだ?子供…?」
『はっ!』
「このガキ…タソガレドキの紋をつけているぞ!!」
「子供でもタソガレドキの人間だ!!殺せ!!」
『あっ…!』
茂みか現れた敵の侍達が泣いている彼女を見つけたが、彼女は当然タソガレドキとして戦地にいたためその紋の分かるものを身に着けていた。
敵の侍が彼女に向かって刀を振り下ろした。
彼女は最初、身体が恐怖と焦りで固まり動けなかった。
しかし次の瞬間・・・
シャッ!!!
という空を切る音と共に、敵の侍から赤い血を首から噴き出しながら倒れた。それは彼女が無意識に投げた小刀が侍の首をうまく掠めたのだ。