第16章 告白
『…嘘』
「嘘じゃない…君が好き」
『嘘…あたしを、好きになる人なんていない…。あたしは何の役にも立たない、殺ししかできない…だから…』
彼はタカ丸に抱きしめられながら手のひらをギュッと握った。
手のひらに爪を立て過ぎて血が出るくらい
『殺ししかできないあたしに、価値はない…。だから殺すしかない…。邪魔しないでよ!!』
「…そんなことない。君の価値は、殺しだけじゃない。だから止めるんだよ。」
『うるさい!!あたしなんて…!』
彼の肩が揺れてきたから、タカ丸はまた優しく彼の背中をさする。すると、2人の声が聞こえたからなのか他の4年生達が集まってきた。
喜八郎が彼を抱きしめるタカ丸を少し睨むが、タカ丸はそれを感じ取ったのか喜八郎を見てそっとうなずいた。
「…お願い、俺達に本当の事を話してくれないかい?」
『…グス、なんで…あたし、なんて…』
「若月…」
と、いつの間にか集まっていた4年生の1人浜守一郎が彼に近づいてきた。
『…守一郎?』
「…俺も聞きたい、お前の事。教えてくれないか?」
守一郎の言葉を聞いて、彼はまた涙が溢れた。
その後ろにいる喜八郎やまだ状況が分かっておらず顔を見合わせる滝夜叉丸と三木ヱ門の姿・・・
『…ぅ、なん、なんなの…あ、あたし…なんか…ヒック、うっ…う、うぇ…ふぇ~…』
彼は、そのまま崩れるように蹲ってしまった。
タカ丸に背中を撫でられながら肩を揺らして泣く姿に、守一郎も彼の肩に手を置く。
「えっと…、これはどういう状況なんだ?」
「…とりあえず、俺達の部屋に入ろう」
滝夜叉丸がタカ丸に尋ねると、タカ丸は守一郎と共に彼を抱え上げて部屋に入った。