第15章 執念
「いや~結構売れましたね!」
『そうだね!次の奴も出していい?』
「はい!どんどん出してください!!」
と、ウハウハのキリ丸に笑いながら言い次の簪が入っている箱を開けてる。
6年の先輩達もお姉さん達の扱いに慣れ始めて売れ行きは好調だった。
彼も少し気持ち的に落ち着いてきたときだった。
「あんた…」
『はい?』
彼は、誰かに呼びかけられて顔を上げた。
すると彼の目に飛び込んできたのは初老の女性だった。かなり綺麗な着物を纏っていて気の強そうな人だった。
「あんた…和歌菜だろ?」
『えっ…ぁ、お…おばさ…』
「あんた…よくもこんな所で…来な!!!」
『ひっ…嫌だ!』
と、彼の腕を強引に掴んだ女性は彼の腕を強引に引っ張り引きずるようにどこかへ連れて行った。
その様子は、6年の3人には気づいていたが全員でいなくなるのは危険なうえキリ丸には悟られないために6年生の矢羽音を使い伝達をした。
「…ん?アレ?潮江先輩と七松先輩と若月先輩は?」
「…厠だ。すぐ戻るそうだ」
「そっすか。」
と、キリ丸は気にせず再び簪売りを再開した。
中在家はそんな様子を見て安心していたが、若月の事が少し気がかりだった。