第14章 日常.3
「うわぁ~…」
「おいおい兵助…。どうした?」
「いや…女神が見えて…」
「アホか…。最近暗殺がめっきり減ったと思ったら後輩達とは仲睦まじくいい雰囲気。4年生とは切磋琢磨し合っていていいライバル関係。そして5・6年生は…一部除いて女として意識しまくりときた。」
尾浜は長屋に駆け込んで頭を抱えている久々知に皮肉っぽくそう告げた。
彼は、女であることは隠しているが何かが吹っ切れたように表情豊かで明るくなった。その上優しく面倒見がいいと来たものだから・・・後輩達からは信頼されて優しい先輩と言われ普段の日常もピリピリした雰囲気がなくなり自由にしているのが見て取れる。
それが事情を知っている上級生達には酷なことになってしまったのだ。面倒見がよく優しいのは、後輩達だけでなく上級生達にもだった。
委員会の手伝いをさせれば、男では気づきにくいお茶出しやサポートをしてくれるから、女性がいない環境にいる14.15の男子にはキツイものがあった。
「ホントに…なんで勘右衛門平気なの?」
「俺はもっと色気がある方が好みなんだよ。いい子だけど」
「うぅ~…」
「おっ?兵助に勘右衛門。何してんだ?」
「お?雷蔵に三郎。今兵助が悶えてんだよ若月が可愛いからって」
と、尾浜と久々知の部屋に不破雷蔵と鉢屋三郎が入ってきた。
尾浜は、入ってきた2人に若月の事と久々知が彼の事を思って夜も眠れないということを話した。
久々知は夜は寝ている!!とツッコミを入れていた。