第13章 思想
その話を聞いていた中在家も、応急手当をした彼の頭に手をポンと置き、無愛想な顔のまま彼に言った。
「キリ丸を、守ってくれて…ありがとう」
また、彼の心がぐわぁぁあと熱くなった。
その瞬間、彼は思わずポロっと涙が流れていた。中在家はそれを見て少し慌てていた。
『…す、すみません…。守るとか…助けるとか…縁遠いと思ってたから…それで感謝されるなんて、思ってなくて…人殺ししかしてこなかったから、知らなかったんです…こんな気持ちなんですね…』
泣きながら笑顔を向けると、3人はこれまた彼の笑顔に思わずときめいてしまった。照れ隠しなのか、潮江は頭をクシャクシャと掻き七松は二ヒヒと笑った。
「…お前、もう殺しはするな」
照れ隠しをしていた潮江が彼に言った。
彼には興味がないと思って居た潮江の予想外の言葉に中在家も七松も驚いていた。
『えっ…』
「人を助けると嬉しいんだろ?じゃあ殺しはどうだ?やってもなにもないだろ?だったらするな。そんな意味のないこと」
『…でも』
「お前、学園長に言われただろ?正しい忍術を学べって。だったらそれを目的にすればいい!簡単じゃねえか!!」
潮江の言葉に、彼の涙腺は決壊していた。
顔を抑えながら泣いている彼・・・彼女の頭を撫でている中在家もいつもはいけいけどんどんな七松も、彼女の様子を見ながら何も言えずにいた。
彼女は、泣いて嗚咽しながら・・・
『ごめんなさい…ごめんなさい…』と、ずっとつぶやいているから