第13章 思想
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「このバカタレ!!無茶してんじゃねえ!!」
『すみません…思わず…』
中在家に引き上げられると、そこには・・・
潮江文次郎と七松小平太が大勢いたドクタケ忍者をあっさりのしていた。
そして、中在家が彼の怪我を手当てしている間に潮江がものすごい勢いで彼を𠮟りつける。七松はそれを笑ってみているだけだった。だが、その後真面目な顔をして彼を見た
「だが!キリ丸を必死に守ったのは大手柄だ!!よくやったな!!」
『あ…はい。』
「…どうした?」
『いえ…』
「なんだ、言いたいことがあるなら言え。」
何か言いたげな彼に、3人は彼をじっと見る
彼はもじもじしながら口を開いた。
『…あの、あたし…さっき、キリ丸に…ありがとうって言われたんです』
「は?それがどうした?」
「助けたんだから、ありがとうは言うだろ」
『いえ…、あたし…助けてくれてありがとうって…初めて言われたんです。』
彼が肩を揺らしながらそんなことを言うものだからいつもうるさい3人もさすがに様子がおかしいと思ったようで何も言わなかった。
「今まで言われなかったのか?」
『…だって、あたし人殺ししかしたことなかったから。人を助けてありがとうなんて…』
「それってすげえ嬉しいだろう?」
『えっ…?』
肩を竦ませて小さくつぶやいていたが、それに大声で答えたのは七松だった。2人にやられて伸びているドクタケ忍者に腰かけていた七松が、中在家に手当てをされている彼のもとへ歩み寄ってきた。
「自分が助けた相手に感謝されるのって嬉しいだろ?心ン中がこう…ぐわぁああ!!となるって言うか、嬉しいだろ!?」
何言ってんだ…って潮江が飽きれているが、
彼はその言葉がよく分かった。確かにぐわぁぁあ!ってなったからだ。
嬉しい・・・それも初めての感覚だった。