第13章 思想
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「おい…落ち着いたか?」
『うっ…ぅぐ…ぁぃ…。』
すっかり辺りが夕日に染まってしまった頃
ずっと大泣きしていた彼女の傍らに、潮江と七松はずっといたのだ。
途中キリ丸が目を覚まして慌てて団子屋に戻ったが・・・
店番を放っておいた挙句、お店の椅子や湯呑を壊してしまったためバイト代は微々たるものだったらしい。
落胆しまくっているキリ丸を同じ図書委員の中在家が一緒に帰ったと潮江が言っていた。
「おし、俺達も帰るぞ」
「おぅ!!」
『ズッ…はい』
鼻をすすりながら彼女は着物を正して、先を歩く潮江と七松の後についていった。
『あの…潮江さん。七松さん』
「ん?」「…なんだ?」
『…ありがとうございます。』
彼の言葉に、潮江はまた頭を掻いた。
七松はガハハッ!と笑いながら「細かい事は気にするな!」と笑っている。
照れくさそうにしている潮江は彼に背を向けて気まずそうな声で答えた。
「ありがとうって思うなら、もう俺達に迷惑をかけるなよ!」
『…ぇ?』
「学園長の殺しはやめろってことだよ!そうすりゃ、俺達だって眠れるんだ。もう迷惑になることするなよ!」
『…はい。』
「分かったらさっさと帰るぞ!!」
と、いつものギンギンに大声をあげて先を歩いていく。
彼もちょっと足元がフラフラしながらだが、2人の後を追って行こうとしたが・・・
「若月遅いぞ!!よし!!いけいけどんどんで行くぞーーー
!!!」
と、ゆっくり歩く彼をお姫様抱っこで抱え上げてけが人を運んでいるとは思えないような道のないところを猛ダッシュで駆け抜け始めた。潮江もまた、鍛錬だと言ってその後を追って山道を走って学園に戻っていった。