第1章 編入
「はい、最後が保健室で…」
「頼むよ、文次郎!保健委員会の予算増やしてくれよ…」
「却下だ!バカタレ!!伊作の不運で壊した医療用具の補充なんぞに予算を使えるか!!」
と、保健室の中から揉める声が聞こえてきた。
中を覗いてみると、これまた深緑色の制服を着た人たちが何やら揉めていた。
『えっと…揉めてるけど…』
「あはは、ちょっと日を改めようか…」
「その必要はないぞ」
と、少しだけ開けていた保健室の襖がスッと開いた
中からは少し柄が悪い・・・というか、老け顔の人だった。
その人は彼を見るなりいきなりキッと睨んできた。
『あ…すみません、4年い組に編入してきました、由利若月といいます。』
「…会計委員会委員長、潮江文次郎だ。」
と、だけ言って潮江さんは廊下を歩いていってしまった。
機嫌が悪いのかそれ以降は何も言ってこなかった。
「やぁ、タカ丸さん。どうしたんだい?」
「あ、伊作さん。今日編入してきた…」
『はじめまして。由利若月です。4年い組に編入しました。』
「そうか。僕は善法寺伊作。6年は組でここの保健委員会の委員長をしている。よろしくね」
『は、はい!よろしくお願いします!!』
と、深緑色の制服を着た人たちの中で一番好印象の挨拶をしてくれた先輩に彼は少し胸をなでおろした。
「何か、けがをしたらまたおいで」
『はい、ありがとうございます。失礼します。』
と、一通り伊作さんと話してからタカ丸さんと一緒に自分達の部屋になるという忍たま長屋に案内してもらうことになった。