第13章 思想
「せ…せせせ先輩ーー!!??」
『…手、離しちゃってごめんね!!大丈夫だから!目閉じててね!!』
と、彼はキリ丸を抱きしめるとキリ丸も彼の言葉を聞いて彼の着物を掴んでギュッと目を閉じた。
彼は、崖の下を見るが残念ながら下は木のない平地
このまま落ちたら間違いなくヤバいと瞬時に理解してキリ丸だけは!!と、キリ丸の頭をギュッと抱える。
すると・・・
彼の足に何かが巻かれる感覚とグンッ!!と引かれる感覚が同時に襲ってきた。引かれる勢いのまま崖にぶつかりそうになったため彼は咄嗟に崖を何かが巻かれていない足で受けてなんとか直撃は免れた。
「うっ…あれ?」
『はぁ…間に合ってよかった…。ほら、先輩達が…』
腕の中で目を覚ましたキリ丸に優しく話しかける。
キリ丸が崖の上を見ると、縄鏢が得意な中在家長治が彼の足に縄鏢を巻きつけて落下を防いでくれたのだ。
助かったことによってキリ丸は安心したようでふぅ…と息を吐いた。すると、キリ丸は彼の顔を見た
『ん?どした?』
「若月先輩、助けてくれて…ありがとうございます!!」
キリ丸は満面の笑みを浮かべたと思ったら、そのまま目を閉じてしまった。どうやら安心して気を失ってしまったようだった。
そして彼は、そんなキリ丸の姿を見て
何か心の中に、熱いものがいっぱいになる感覚がした。
それは、彼が今まで感じたことのないもので彼自身とても困惑していた。