第13章 思想
『フッ!!はぁ!!』
キリ丸を背中にして左腕で支えながら応戦する彼女だが、ドクタケ忍者が思った以上に人数が多く攻撃を防ぐだけで精一杯だった。
彼は攫われる直前に口を塞がれたため大声は出せなかったが、店の椅子を蹴って破壊していたため裏方にいた先輩達には聞こえていたはず。先輩達!早く来て!!と思いながら彼は何とか攻撃を防いでいた。
「お前ら!バラバラに攻撃するな!一斉に行くぞ!!」
と、ドクタケ忍者の1人が指示するとドクタケ忍者達は、手裏剣や苦無、落ちている石などをいっぺんに崖の淵にいる彼らめがけて投げつけてきた。
『クソが!!キリ丸!着物離しちゃダメだからね!!』
と、飛んできたものをすべて裁くため彼はキリ丸から手を離して両手に鉄扇を持ち手裏剣や苦無を払い落としていく。でも石だけは扇ではどうしても防ぎきれずに顔や体にいくつか当たってしまっていた。
『はぁ…はぁ…クソっ…』
「ぁ…若月先輩…先輩!血が…」
『…ッ大丈夫だよ、もうすぐ先輩達も来ると思うから…』
もう一度キリ丸を左腕で抱きかかえ鉄扇を構えるが、投げられた石の内の1つが頭に当たってしまっていたためもう目の前がフラフラになってしまっていた。そのため・・・
「オラぁ!」
『くっ…!』
敵からの攻撃を、普通よりも大きな動作で鉄扇を振るってしまったのだ。その時、彼はキリ丸の手を離してしまったうえに、大きな動作をしてしまったため立ち眩みが起きてしまい崖のふちにいたキリ丸とぶつかってしまったのだ。
「あっ…!!」
『…あ!!キリ丸!!!』
キリ丸の声が聞こえそっちを見ると、キリ丸の身体が宙に浮いておりそのまま崖の下に落ちそうになっているのが見えた。
彼は、慌てて身を乗り出して彼を受け止めるが、彼もそのままの勢いで崖から落ちてしまった。いつもなら鍵縄を持っていたが荷物はすべて団子屋さんに置いてきてしまっていた。