第5章 母校
そして職員室にも顔を出しておこうと思い、職員室のドアの前に立っている。
ヒーロー事務所とは違う空気感。
学生時代は職員室に入るのは少し緊張するものだった。
今は学生とは程遠い年齢だが、
やはり感覚は抜けないのであろう。
少し緊張する…
ドアの前で深呼吸をしていると
先ほど別れた根津校長が再び現れた。
「白雲くん。ちょうどよかった!
君にも早めに説明しておかないとね!」
根津校長の後ろには
金髪のガリガリの男性が立っていた。
「やぁ、はじめまして。
君がクラウディアだね!噂は聞いてるよ!」
「はじめまして。
雄英の教師の方ですか…?」
こんな風貌のヒーローは見た事がなかった。
雄英はヒーロー以外の教師も雇っているのだろうか、
疑問に思って根津校長を見ると
フンッ!とガリガリの男性が声を出し
ガリガリの男性が立っていた場所に
誰もが憧れる平和の象徴、
No.1ヒーローのオールマイトが立っていた。
「わーたーしーがー、いるー!」
ババーン!と効果音が出そうなほどの登場だ。
筋骨隆々、アメコミのような風貌は近くでみると圧倒されてしまう。
私は訳がわからずポカーンとしていた。
「オ、オールマイト!
は、はじめまして、白雲です…」
とりあえず挨拶を…と思って話し出すと
プシュ〜と空気の抜けるような音を立て
またオールマイトがいた場所に
先ほどのガリガリの男性が立っていた。
「ああ、驚かせてすまないね。
こっちがトゥルーフォーム。本当の姿なんだ。
さっきの姿はマッスルフォームで、お腹を凹ませている感覚と近いんだ。」
ムンッと再びマッスルフォームになる。
「マッスルフォームは1時間程しか維持できないのでね!教師のみんなには伝えておかねばいけないのさ!!」
ガハッと血を吐きながらまたガリガリの姿に戻る。
「だから、お手数かけるかもしれないがよろしく頼むね。お互い新米教師同士、頑張ろう。」
ガリガリで目が窪んでいて白目が見えないが、瞳は笑っている。
「このことはくれぐれも内密に頼むね!」
根津校長が可愛らしい手もとい肉球を前に突き出している。
「では、さっそく同僚になるみんなに挨拶してくるといいのさ!」
そう言って職員室のドアを開けた。