第4章 突然の訪問者
「実は、来期からオールマイトも雄英の教員になるんだ。」
へぇ、そうなんだ・・
No.1ヒーローから教えを受けれるなんて、羨ましいな~。
ふんふん、と大人しく消太くんの話を聞く。
「あの人は良くも悪くも目立つ。
それに話した感じ、教職は少し向いてなさそうでな。
実践訓練や演習の授業はまだしも、座学はからっきしらしい。
まあ、他にもいろいろ理由があるんだが、それは追々だ。」
消太くんはひと息ついて再びコーヒーに手を伸ばす。
「そこで、霞だ。
教員免許に加えてレスキューの免許も持ってるんだろ?
それにお前ほどいろんな事務所でサイドキックを経験しているやつはそういない。いろんなヒーローとのコネクションもある。
俺にはお前ほど教師に適任なやつはいない、と思っている。」
何故、教員免許やレスキューの免許の事を知っているのだ・・
ひざしくんか・・・
相変わらず口が軽い兄貴分だ。
レスキューの免許は本来ヒーローには必要のないものだが
山岳地域で活動していた時に興味を持ち、取得した。
個性を使わなくても救助できるように。
教員免許は離島の事務所で働いていた時に
島の子供たちに勉強を教えられるように取得した。
ほぼ趣味みたいなものだ。
レスキューの免許はともかく、教員免許に至っては
取得はしたものの教員の経験はない。
果たして役に立つのだろうか・・・
「・・それに、お前がいてくれたら、楽しそうだ」
私が返事に困っていると消太くんがポツリと呟いた。
消太くんのコーヒーはもう残っていない。
なのに、再びカップを口に運んだ。
照れているのがバレバレだ。
「私情ですか?相澤先生」
ニヤッと笑って消太くんを見つめる。
「ま、両方だ。」
消太くんはフイッと顔を逸らしたが
モサモサの髪の毛の隙間から少しだけ見えた耳が
ほんのりと血色を帯びていた。
最後の一言を聞いて、やる気が出ないわけがない。
「わかりました。謹んで、お受けします。
一度、私の方から雄英高校に伺って根津校長にご挨拶に行きます。
その旨、お伝えください。」
よろしくお願いします。と消太くんに頭を下げた。
「ああ、わかった。」