第4章 突然の訪問者
根津校長との電話から一週間が経った。
そろそろ返事をしなければ、、と思いつつも
立て続けに仕事が重なり中々ゆっくりと考える時間が取れていない。
根津校長から電話があってすぐ
ひざしくんにメールを入れた。
高校生の時から頼りになる兄貴分、ひざしくんとはたまに連絡を取り合っていた。
ひざしくんが出張で近くに来ているときはご飯を食べに行ったり、卒業後も交流は続いていた。
福岡に来てからは会えていないがメールで近況のやりとりはしていた。
<楽しいぜ!ティーチャーライフ!>
なんてお気楽な内容のメールが返ってきていた。
どうしよう。
ヒーローの卵を育てるなんて
サイドキックしかやっていない私に務まるのかな。
考えれば考える程、不安でしかない。
やっぱり断るべきかなぁ。
ひざしくんへの返事を打とうとすると
電話が鳴った。
【相澤消太】
この名前が表示されるのなんて何年ぶりだろう。
恐る恐る通話ボタンを押した。
「もしもし」
『久しぶり。元気か?』
「……消太くんこそ」
メールではなく電話をしてくる辺り、
合理的主義の彼らしい。
『週末空いてるか?』
「え?う、うん。空いてる、けど」
『わかった。また連絡する。』
それだけ言うと電話が切れた。
なんだったんだ、今の電話は。
要件も何も伝わらない電話で
私からしてみると全然合理的ではない。
疑問ばかり浮かんだがとにかく週末は空けとくことになった、のか?
兄のもう一人の親友からの久しぶりの電話は謎ばかりであった。