第4章 突然の訪問者
「お待たせ〜!」
「お疲れ様です〜。ビールでいいです?」
先に着いていた速すぎる男は
先に注文したのかすでに焼き鳥をほうばっていた。
いつも通りだ。
「乾杯!」
ビールが届いてグラスをカチンとぶつける。
「あ〜、ここの焼き鳥とももうすぐお別れかぁ。」
「次の事務所決まったんですか?」
「んーん、まだ。今返事待ってもらってる。
でも今の事務所の契約がそろそろ終了だからね。」
「俺が誘った時はすぐ断ったのに」
「あはは、そうだっけ?
大手の事務所でやるつもりはないからね。
それにホークスの事務所、私いらないじゃない」
ホークスが頼んだ焼き鳥をほうばり、ビールを傾ける。
うん、やっぱり仕事の後はコレよね!
なんてオヤジみたいかな。
「次はどこから声かかってるんすか?」
「……雄英から。教師やらないかって」
「へぇー!霞さんが先生か。いいんじゃないですか?向いてると思いますよ」
「そうかなぁ。まぁ、ホークスよりは向いてるかもね〜」
「俺、後進育成とか興味ないですもん」
「でもさ、案外向いてるのかもよ?
ホークス器用だし、説明も上手いし。
飴と鞭の使い方も上手だしね」
「そうですかぁ〜?
自分ではそんなつもりないんすけど」
私の目の前にあった焼き鳥にホークスが手を伸ばした。
「やればできるって話だよ」
「霞さんの教え子で良さそうな子いたらウチに回してください。その時は考えますんで、後進育成。」
パクッと最後の肉を食べて
役目を果たした串をクルクルと回しながら私の方を見た。
「だからまだやるか決めてないって!」
「やればできるって話ですよ」
ハハッと笑っているホークスをジト目で見ながらビールを流し込んだ。