第4章 突然の訪問者
「戻りました〜」
「霞ちゃん、お疲れ様。」
ここの事務所の所長、
オトメヒーロー マッスルレディー
個性ムキムキ
見た目はムキムキのおじさん。
でも心は誰よりも乙女だ。
「速かったわね。」
「ええ、速すぎる男の管轄内でしたので」
「あ〜、ホークスちゃんね!
生意気なところが可愛いわよね、彼」
タイプなのよ〜と頬を赤らめていた。
ホークスはいろんな人から人気ダナァ。
なんて考えながら書類をまとめた。
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業務終了後、ホークスとの約束のため
駅前方面へ向かう。事務所からは徒歩15分ほど。
個性を使えば一瞬だけど、目立つのでプライベートではあまり使わないようにしている。
あくまでサイドキックなのでメディアで大きく扱われることはない上に雑誌の特集やテレビCMなども絶対に断れない案件以外はお断りしている。
なので余程目立つことをしない限り私服で歩いている時に声をかけられたりはしない。
「あ、ホークスや!」
近くで声が上がり、空を見上げると
ホークスが飛んで行くのが見えた。
さすが速すぎる男の異名は伊達ではなく
福岡にきてから何度か食事をしているが
彼が待ち合わせに遅れてきたことはない。
待たせるのも悪いので少し歩くペースを速める。
赤い提灯が目印のいわゆる大衆居酒屋。
ここの焼き鳥が私はお気に入りで一人でもよく来ている。
いつものように暖簾をくぐるといつものように女性の店員さんが出迎えてくれた。
「いらっしゃいませ!
お連れの方お待ちですよー」
そう言って流れるように奥の個室へ案内された。