第3章 オリジン
「・・・んで?」
「それだけだけど」
「ナニやってんのよ、お前ら。
二人して不器用すぎ!ナ~ンセンス!!!!」
お昼休みに中庭でひざしくんにあらましを説明した。
絶賛呆れられ中である。
消太くんは兄が亡くなってから
ひたすら身体を鍛えているらしい。
戦闘訓練以外の授業はそこそこにこなし、
空いてる時間はすべて睡眠に回していて
お昼休みに屋上へ行って話すこともなくなり
学校でもほとんど見かけることがない。
私も消太くんと話した日を最後に屋上に行くことはなくなった。
もう兄の面影ばかり求めても仕方がないからだ。
私と消太くんはそれぞれの道を行く。
今はそれでいいと思っている。
消太くんと話した日、
家に帰ってすぐに両親に頭をさげた。
自分の気持ちを伝えると両親は苦しそうな表情をしていた。
それでも何度でも頭を下げた。
けっきょく両親は折れ、ヒーローを目指すことを了承してくれた。
翌日には先生にも伝え、
ヒーロー科として、また授業に参加している。
少し休んでいた分、みんなに追い付くのに必死だが
こんな所でくじけていられない。
ひざしくんは呆れたといった表情のまま、
「オレはお前の味方だぜ!」
と言って笑ってくれた。
心強い味方ができた。私の兄貴分。
そして2年生になり、
体育祭で準決勝でB組の例の彼に負けたが上位入賞。
仮免許を取得し、インターンに臨む。
1年の時はプロヒーロー事務所からの指名は一つもなかったが
体育祭での成績のあってか、けっこうな数の事務所から指名をもらえた。
先生や両親と相談した結果、犯罪の多い都市部を避け過疎化地域で活動する事務所でインターン活動をすることになった。
先生は大手の事務所からも指名がきていたのでもったいないと言ってくれていたが、私は少しでも両親が安心できることを優先した。
文化祭ではミスコンでリベンジを果たしグランプリ。
今年は消太くんと回ることはできなかった。
ひざしくんに聞いたが最低限の仕事だけこなして、休憩中は常に寝ていたようだ。
でもミスコンは見に来てくれていたらしい。嬉しかった。