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partly cloudy 【ヒロアカ】

第3章 オリジン






そして、ついに消太くんとひざしくんは卒業する。

ひざしくんはプロヒーローの事務所にサイドキックとして入って経験を積みつつ、ラジオのDJを続ける。
消太くんは独立して対敵専門のアングラ系ヒーローになるらしい。

どちらもひざしくんからの情報だ。
卒業式が終わり、在校生は体育館の片付けを手伝ってから帰宅。
卒業生は学校に残り、家族や友人と写真を撮ったり別れを惜しんだり各々が最後の時間を楽しむ。



私は片付けを終え、久しぶりに屋上に足を運んだ。
屋上から3年生の姿を眺め、
兄がこの場にいたなら誰よりも騒いでいたに違いないな。
フッと笑みがこぼれた。


ひざしくんの声は屋上までもよく響く。
写真撮ろうぜ~!の声のあとに続くひざしくんの声が聞こえなくなった。
校門で陰になって見えないが、おそらく視線の先に消太くんがいて個性を消されたのだろう。


その後、電柱に捕縛布が巻き付けれるのが見えた。
消太くんが移動しようとしているのか。


ちょっと距離があるけど
見える範囲なら雲を出せる・・


パチンと指を鳴らし、こぶし程の小さな雲を
消太くんが飛び移ってくるであろう電柱付近に出した。



ポンッと音を立てたそれに消太くんが気が付いたようで電柱の先に着地した。まるで忍者みたいだ。

距離があるためお互いの表情はもちろん、声も届かない。
ひざしくんの個性なら余裕だろうけど。


もう一度、パチンと指を鳴らし
雲の形状を変化させ、文字を作った。



【ガンバレ】



届いたのか、届いてないのか。
私の精一杯のメッセージを消太くんに贈る。




消太くんが一瞬頷いたように見え、
そしてまた移動したのか姿を消した。




あーあ、行っちゃった。
消太くんの消えた方向を見つめていると
下の方が賑やかになっている。

また視線を下の卒業生に向けると
みんなこちらを見上げていた。

しまった・・・目立ちすぎた!!!





「熱烈なエール、サンキューな霞~!!!」


ひざしくんが下から手を振ってくれた。
卒業おめでとう~!と私も振り返す。

すると屋上の扉がバーンと開き、
先生に見つかって、こってりお叱りを受けた。
しかも反省文。トホホ。




その後、消太くんからひと言だけメールが届いていた。




『霞もがんばれよ。』





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