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partly cloudy 【ヒロアカ】

第3章 オリジン






言いたいことは全部伝えた。


いや、もう一つだけ
伝えたい事があるが…それはもう伝えない。



俺も、霞も、ここからなのだ。
俺が霞の足を止めることなんて出来ない。



霞は俯いたまま動かない。
言い過ぎただろうか…




「消太くんってさ…
先生に向いてそうだよね」



やっと目が合った霞は
以前と同じ顔で笑った。



「は?」



俺の渾身の演説の後の一言がそれかよ…


まったく、こいつら兄妹は。




“子供を世話する仕事も向いてるかもな。”


白雲に言われた言葉を思い出す。




よく言われない?
と霞はまだ笑っている。

やっぱり霞は笑っている方が、良い。




「そんなこと言うの、お前ら兄妹だけだよ…」



俺はハァ…とため息をついた。




「消太くん、私も自分で決めたよ。
ううん、本当は決まってた!ヒーローになるよ。
たくさんの人を救えるような、ヒーローになる。」



霞は覚悟が決まった顔をしていた。
数分前とは比べ物にならないくらい強く凛とした表情だった。





「私、消太くんが好き。」



霞は凛とした表情のまま俺の方をまっすぐみてそう言った。

……いきなりかよ。
どの流れからそうなるんだ…本当にコイツは。

こっちは伝えたいのを我慢してるっていうのに。




「お兄ちゃんの遺言なんだ。
自分の気持ちを伝えろ、後悔すんなって!」



霞は空を見上げている。
俺も空を見上げる。雲が風に流されて形を変える。



「…俺は」



「いいの!わかってる。
私も、消太くんも、ここからがスタートライン。でしょ?」



「…ああ、そうだな」




後悔すんな、か。
そうだな、白雲。後悔しないように。



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